生き延びるための正しさを問う — 朝井リョウの『正欲』

朝井リョウ


こんにちは、SNS図書館です。本日もおすすめの書籍を紹介していきます!
今日は、朝井リョウさんの力作『正欲』をご紹介します。この作品は、作家生活10周年を記念して書かれた長編小説で、2022年本屋大賞にもノミネートされた話題作です。
読む前の自分には戻れないほど衝撃的でありながら、多くの人に共感と考察を促す内容となっています。

『正欲』とは?

~ あらすじ ~
『正欲』は、多様性の時代において「正しさ」とは何かを問いかける物語です。
物語は、息子が不登校になった検事・啓喜、初めての恋に気づいた女子大生・八重子、そしてひとつの秘密を抱える契約社員・夏月という、異なる背景を持つ三人の視点から進行します。
ある人物の事故死をきっかけに、彼らの人生が交錯し始めます。しかし、その繋がりは現代社会の「多様性」を尊重する理念にとって、不都合なものであることが次第に明らかになっていきます​。

~ 登場人物 ~
啓喜(けいき):
 息子の不登校に悩む検事。法律の正しさを信じるが、息子の問題に直面することで揺れる。
八重子(やえこ):
 女子大生で、初めての恋に戸惑う。自身の感情と向き合いながら成長する。
夏月(かづき):
 契約社員で、秘密を抱えながら生きる。社会の規範と自身の欲望の狭間で葛藤する。

~ 本作の魅力 ~
深いテーマと鋭い洞察
『正欲』は、多様性や性的指向、社会の規範といった現代の重要なテーマに鋭く切り込んでいます。
朝井リョウさんは「多様性」という言葉が持つおめでたさと、それが生む偽善を描きながら、読者に「正しさ」とは何かを問いかけます​。

心に残るキャラクター描写
キャラクターたちの複雑な心理描写も見逃せません。彼らが抱える問題や悩みは、誰もが一度は感じたことのあるものばかり。
啓喜の正義感と父親としての葛藤、八重子の恋愛感情の揺れ動き、夏月の秘密と社会との折り合い方など。どのキャラクターもリアルで共感を呼び起こします​。

読後感の衝撃
この作品は、読了後も長く心に残る衝撃を持っています。朝井リョウさんは、物語を通して多くの問いを投げかけますが、答えは読者自身が見つけるべきだと感じさせます。
この「答えのなさ」が、読後も考え続けさせられる要因となっています。

~ こんな方におすすめ! ~
現代社会の問題に興味がある方
 ⇒ 多様性や性的指向、社会の規範に興味がある方には必見の内容です。
深い心理描写が好きな方
 ⇒ キャラクターたちの複雑な内面が描かれており、感情移入しやすいです。
考えさせられる作品を求めている方
 ⇒ 読後も考え続けることのできる、深いテーマを持つ作品です。

~ 最後に ~
朝井リョウさんの『正欲』は、現代社会に鋭いメスを入れ、私たちの「正しさ」を再考させる名作です。ぜひ手に取って、物語の中で問いかけられる数々のテーマと向き合ってみてください。
あなたの人生に新たな視点をもたらしてくれることでしょう。

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