こんにちは、SNS図書館です。本日もおすすめの書籍を紹介していきたいと思います!
今日は、外山薫さんの『息が詰まるようなこの場所で』について。
書籍の基本情報
タイトル: 息が詰まるようなこの場所で
著者: 外山薫
出版社: KADOKAWA
発売日: 2023年1月30日
価格: 1,650円(税込)
ページ数: 256ページ
あらすじとテーマ
外山薫のデビュー作「息が詰まるようなこの場所で」は、東京湾岸のタワーマンションを舞台にした小説です。物語は主に平田家と高杉家という二つの家族を中心に展開され、タワマンという舞台装置を通じて、現代社会における格差、見栄、競争、そして葛藤を描いています。
平田さやかは、大手銀行の一般職として働きながら、念願のタワマン生活を手に入れたものの、日々のストレスは絶えません。一方、最上階に住む医者一族の高杉家もまた、それぞれの悩みを抱えています。物語は、子供の過酷な受験戦争や、PTAでの見栄の張り合いなどを通じて、タワマン住民の表と裏の姿を描き出します。
読みどころ
この小説の魅力は、タワマンという舞台を通じて描かれる人々の心理描写にあります。著者の外山薫は、タワマン住民の「外から見た成功」と「内に秘めた苦悩」を対比的に描いています。タワマンに住むということは、一見華やかで成功者の証のように見えますが、その裏には住宅ローンや教育費の重圧がのしかかり、見えないストレスが蔓延していることが明らかにされます。
また、一人称多視点形式で語られるストーリーは、登場人物それぞれの視点から見た「息の詰まるような場所」での苦悩をリアルに描き出しています。特に、子供たちの視点から見た大人たちの競争や見栄の張り合いが、読み手に強い印象を与えてくれます。
この本を読むべきポイント
- リアルな心理描写:
タワマンに住む人々のリアルな生活と心の葛藤が丁寧に描かれており、実際にタワマンに住んでいる人にはもちろん、これからタワマンに住んでみようかな、と考えている人にとっても、本書籍は共感と新たな学びを与えてくれることでしょう。 - 現代社会の縮図:
タワマンという舞台を通じて、現代社会における格差や競争、見栄の問題が表現されています。そういった現代社会の縮図について考えさせられる人も多いでしょう。 - 多視点形式:
複数の視点から語られることで、登場人物それぞれの内面とその相互作用が深く掘り下げられています。
この本がおすすめな方
- 社会問題に興味がある人:
タワマンという現代の象徴を通じて、社会の裏側にある問題を考えたい方におすすめです。 - リアルな人間ドラマが好きな人:
登場人物たちの心理描写がリアルで共感しやすいので、人間ドラマが好きな方にも楽しんでいただけるかと思います。 - タワマンに興味がある人:
実際にタワマンに住んでいる人々の生活や心理を知りたい方には興味深い内容となっています。
さいごに
「息が詰まるようなこの場所で」は、タワマンという現代のシンボルを通じて、人間の心の奥底にある葛藤や不安を描いた一作です。外山薫のリアルな筆致が、読者に強い印象を与え、読み終わった後も深く考えさせられるでしょう。現代社会の縮図を描いたこの小説を、ぜひ手に取ってみてください!
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